2015年1月に、プリンタの印刷の色をモニタの色と一致させるためのキャリブレーションのセンサーを導入しましたので、レポートします。
X-rite Color Munki Photo
おそらく、アマチュア写真家にはこの機器が現状の最適だと判断しました。
通常、安いモニタキャリブレーションだけの機器は2万円以下で購入できます。しかし、印刷までキャリブレーションするタイプは5万円以上もする機器が必要です。
結論からいうと、朝焼けの真っ赤に染まった空と水面に写り込んだ光の反射の色を「ほぼ忠実に」プリンタの印刷で再現できるようになりました。
実際の色は、細かく微調整したほうがより良い作品づくりが可能ですが、一度、特定の写真用紙でカラープロファイルを作成すれば、1発で印刷の色合せが完了します。
結局、時間と紙代とインク代を大幅に節約できるのですぐに元は取れると思います。
こういう温かみのある朝焼けの空のオレンジ色っぽい赤色は、モニタで再現するのも大変ですが、プリンタで発色させるのはもっと大変です。
これまで、価格が高いので導入を見合わせていましたが、やはり、花の色や朝焼けの空の赤などを現像したモニタの色と同じ色に印刷するには、文明の利器が有効だということがよくわかりました。
私もこれまで7年間程、写真の印刷は何回も印刷して、元の画像を調整しながら試行錯誤してやっていました。結局、プリンタの発色の癖があるので、モニタで現像した色にはなりません。
特に、赤いバラ、黄色いチューリップなどは、色飽和に気を使って現像します。ヒストグラムでは飽和していないのに、プリンタでは色がベタッとつぶれてしまいます。結局その部分を暗く現像するしか対処法がありませんでした。
でも、プリンタのキャリブレーションによってカラーマネジメントすることで、プリンタの発色の特性を、モニタの色に補正することが可能になりました。
実際の導入方法は、後日に更新していきます。
結構、難しいノウハウがあるようで、そのままでは問題があり、ネットで調べて研究をつくしました。
モニタを色管理すれば、RAW現像はできます。
しかし、プリンタに出力すると、独立して調整されていないので色がズレます。個展などで高級なアート用紙に印刷する場合、色ずれの失敗は大きな出費になります。実はこの問題は解決する方法があります。たぶん、プロは使っています。
これを色管理するのが、モニタとプリンタの両方に対応したキャリブレーンション機器です。
実際には、色のパターンを印刷した紙を上の器具でスキャンします。モニタと同じです。
それだけで完璧な絶対的な「色」調整が行われます。
※例えば、キャノンのプリンタで純正インクと互換インクの発色が異なっていたとしても、このキャリブレーション機器で調整すれば、全く同じ色を自動的に出してくれるのです。
印刷するときは、このカラープロファイルを選択すると、色ズレのない印刷ができます。
【アートペーパー導入編】
「紙は白いもの」と思っているひとは多いです。
理由は、コピー用紙も、写真光沢紙も「真っ白」が普通だからです。
光沢感=透明感として、発色がいいとかいう人も多いですが、作品の手触り感、照明効果との相乗効果により立体感など、アート紙でなければ表現できない領域が存在します。
しかし、実際に、写真画像をアート紙にプリントするのは簡単ではありません。機材と技術が必要です。その理由は、紙が「真っ白」でなく、インクの吸い込みや反射量が大きく異なるため、モニタの画像と同様の色が出ないからです。それを、普通の写真光沢紙と同じ設定で印刷して、色が変わるのを楽しんでいる人もいますが、それでは狙った色で印刷することはできません。
プロファイルで補正した画像と補正前の原画とのちがいの比較写真 ↓
【プリンタプロファイルを手に入れる方法】
【プリントプロファイルデータの設定方法】
プリントするソフトとしては、色々ありますが、世界のスタンダードのライトルームのプリントモードでの方法をまとめます。
★保存場所
新規でプロファイルを追加するには、以下の場所に保存します。
Mac OS 9.x の場合 : システムフォルダ /ColorSyncプロファイル
Mac OS X.x の場合 : ライブラリ /ColorSync/Profiles
Windows XP、vista、7、8 の場合 : C:\WINDOWS\SYSTEM32\SPOOL\DRIVERS\COLOR
★プリントするソフトの使い方(ライトルームの場合)
プリント・モードにする。
右列の下の方のプロファイルを選ぶ。
ただし、新規登録した場合は、最初「その他」から表示するようチェックを入れる必要があります。
第10回 プリンターを使いこなす〈PX-5V編〉 1 | 極める!プリントテクニック講座 | 学ぶ | エプソンのフォトポータル | エプソン
プリント設定の作り方
ライトルームでは、細かな設定を料理のレシピのように保存して、再度その設定が使えるようにメニュー化することができます。
設定すべきポイントは
プリントボタンを押すと
プレビューが表示されます。ライトルームで仕上げた画像とは、発色が異なります。これは、色補正をするプロファイルが、紙の色とプリンタの色をマッチングするための補正をかけているためです。(参考比較画像あり)
【ライティングによる紙質効果のちがい】
表面に凹凸があるアート紙は、真正面からみても、色の立体感がわかります。さらに、トップライトや斜め上から、凹凸をヨコから照らすことによって、キラキラとした輝きが生まれます。
マット紙は、光を吸収して透明感が光沢紙のようにないところが、欠点とおもうひとがいると思います。店頭で展示してある、マット紙の展示サンプルは「蛍光灯」の均一で方向性のあまりない光なので、マット紙は「単なるつや消し」に見えると思います。今回、マット紙を評価してみてわかったのは、「観賞用の光空間が紙の特徴を引き出す」ということです。
マット紙の良さを感じられない人は、「光空間の演出を工夫することで紙のもつ特徴を活かせる」ということに気がついていないのかもしれません。これは、「蛍光灯文化」の日本人の特徴かもしれません。
私は、食卓のライティングには、ハロゲン玉を使用しています。ダイクロと呼ばれるダウンライトです。これで、料理をテラスと、キラキラとした「立体的で美味しそうに」見えます。一方、一般的な蛍光灯だけで、料理をテラスとフラットで均一な「明るいだけ」のものに見えます。
裸電球やクリプトン球などは、光の方向性がストレートにでて、「影を作る」タイプの照明です。一方で、蛍光灯は均質な光を広範囲に拡散する「影をつくらない」タイプの照明です。
美術館などが、最近「自然光」をトップからの反射光で入れる演出を使う場合が増えているようです。または、スポットライトやダウンライトで作品を照らすこともあります。しかし、昔は天井の蛍光灯を、グレーチングの網で拡散させただけの「フラット照明」だったでしょう。旧い美術館はそうです。
余談ですが、映画の「テルマエ・ロマエ」でローマ人は日本人を見て「顔が平たい族」と呼んでいますが、平板でフラットなのは顔だけでは無いようです。
【お気軽プリント編】
写真はプリントするのがゴールとクラシカルな常識もあります。
実際、インクでプリントすると、モニタよりも色数も、輝度、階調もかなり減衰します。
それでも、作品を鑑賞する方法として紙に印刷するというのは一般的です。
人にプレゼントするには、紙にプリントして絵葉書にしたりすることもあるでしょう。
また、「カメラの●●●●」などの写真店で写真印画紙プリントを注文するさいにも、きちんとした色を指定するために『色見本』としてインクジェットプリントを添付するのは基本です。※お店ではそれぞれ色仕上げが異なり、作品として通用するプリントはお店任せでは無理です。
以下が手順です。
つづく