写真作品はアートかARTか


 日本では、芸術と美術品の理解が、欧米の 「Art」と 「Art Work」 とはズレていると思います。

 また、「アート」写真といわれる場合、日本では加工したデザイン写真のことを指すようです。これも、芸術の本質を勘違いしています。これは、工芸品とか美術品という商品として理解するからでしょう。

 

  1. ARTとは、「秩序」「ルール」、それも、自分(個人)の表現ルール
  2. 作品づくりとは、その活動を通した生き方です。
  3. Art Workはその物理的な制作物

 

だと、私は理解しています。

 

「うまい写真」や「美しい写真」がアートとは限らないのです。

上手な写真は、プロの職業写真家の商品なら当然でしょう。しかし、作品とは別のものです。


 「人が見ていいなと思ってくれる写真」


を撮るのが、プロですがそれは商品づくりの視点です。プロである必要がない「写真作家」は、そのような視点にとらわれる必要はないと思います。

 

 


写真家は職業人だが、芸術家ではない日本独特の文化


 1960年頃、欧米ではカラーフィルム写真は芸術作品ではないといわれていました。当時はモノクロしか芸術作品ではなかったのです。しかし、その後の10年間で写真は芸術作品としての価値を持つようになりました。

 

 アーチストの作品とは誰が見ても、その人が撮った作品だとわかるのが理想です。

  

 日本では、写真は芸術よりも、職人(プロ)の糧として偏ったカタチで発展した。

 

 そして、「報道写真」のカメラマン文化が、日本独自の(ガラパゴスの)世界を作っています。新聞や雑誌の写真、つまり「写真素材」を撮ってくる「カメラマン」をプロ写真家と称してきました。


 職業としての「プロカメラマン」と芸術家(アーチスト)としての「写真作家」は同じではない。いわゆるプロとはお金を稼ぐことが目的のひと。作品ではなく商品をつくる側面が軸となっている。

 

 ヨセミテ風景写真のアンセル・アダムス(アメリカ)、戦争報道写真のロバート・キャパ(アメリカ)やフランスのスナップショット芸術写真のアンリ・カルティエ・ブレッソン(フランス)などはジャンルはちがっても、それぞれの写真家の芸術作品をつくりあげています。しかも、彼らはプロとしてお金を稼ぐタイプですが、作家としての作品づくりに軸があるように見えます。

 

写真作品をつくるひとの視点


 

 写真作品を作った本人の「独自の秩序」 が表現されているかどうか

 

 ほとんどの写真作品づくりを目指している人の作品は、売るための商品ではありません。当然、職業カメラマンとは作品づくりの本質(目的)は異なります。


 岡本太郎氏は、「芸術は美しくあってはならない」といっていましたが、自分のつくりだした秩序(アート)は他人がみて心地よいとは限らない。その作品が、「美しくて」「心地良い」ならば、より多くの人に受け入れられるでしょう。しかし、それを目指すのは、職人でしかありません。

 

「ゴッホは、たった1枚しか絵を売れなかった」 

「岡本太郎は、生涯、絵を売って生活したことはない」

 

 昭和の時代の著名な日本画家は、学生時代に教授から、「これから10年間は売れるような作品は描かないように」といわれたそうです。美術の世界で芸術を生み出すには、商品を制作したのではダメだという意味だったと思います。